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Wrestling Road Diariesを見る!

pixivのほうでちょこっといったんですけど、興味深いドキュメンタリーを買ったので軽くレビューを。
Wrestling road diaries。ROHのレスラー、コルト・カバナ、サル・リナウロ(私この人知らないんですけど…)、そしてブライアン・ダニエルソンの3人のロードを、10日間にわたって追ったという、ありそうでなかったドキュメンタリーです。

そのテーマゆえに、試合は殆ど収録されていません。また、この3人以外のROHレスラーもあまり出てこない(ちまちまでてきていい味だしてるんですけどね、手品してるナイジェルとかw)、
基本的にゆるーい雰囲気で、たとえば「ビヨンド・ザ・マット」とか、「レスリング・ウィズ・シャドウズ」とか、半伝記的ともいえる「レスラー」のような、劇的かつテーマ性の強いドキュメンタリーとは全く違います。
なので、ある意味間口が狭いというか、レスリングファン以外には楽しめないものとなってると思います。

しかし!ファンにとってはなかなかたまらんものがあります、コレ。
まず、一般人にとっては謎だったロードというものがどういうものかをみっちりと映していること。
セミナーで若手レスラーを指導したり、他団体の小さな公演にゲストとして出てみたりと、
インディーならではの小さな仕事をこまごまこなしていることがわかります。
それに何といっても、インディーならではのつましさというか、貧乏くささというか(笑)。
多分カバナの車だと思いますが、3人でそれに乗り込み、ホテルも一室をシェア。
(そういや運転はずっとカバナがやってたなあ)ブライアンの、ROHのTシャツ+短パン+サンダル姿なんて普通の人オーラ漂いすぎててなんか悲しいぐらいですよwせめてもうちょっと…もうちょっと格好をだな…

でも、これがすごく魅力的なんですよね。なんといっても人と人との距離が近いというか…
3人同士はもちろんなんですけど、道々に出会う人々や、インディーレスリングのファンとの
距離の近さには感動しました。だって物販だって自分で売ってるんですよ?
目の前でカバナやブライアンがTシャツ並べて…羨ましいことこの上ないよ、コレ。いいなあアメリカ人…。
んで、テーマ性がないといいましたが、ずっとみてるとこの3人の不思議な関係にも気づくんですよね。これ、撮られた時期が絶妙で、ブライアンがちょうどWWEと契約したあたりなんですよ。
んで、コルト・カバナはWWEから解雇されている。で、リナウロはおそらくこれまでもこれからも、
WWEに行くことはないでしょう。つまりメジャーを経験した人、これからメジャーに行く人、
そしてメジャーとは縁がない人、この3人のロード・ダイアリーなんですよね。
でも、そこでお互いに気まずさとか、壁とかは全く感じられない。
でも間に入るインタビューでもたびたびいっているように、いちいち口にはださないけれど
そこにはお互いへのリスペクトが確かに存在しているわけですよ。これは本当に羨ましい関係だなと。

というかね、これみてて、多分自分が縁ないからですけど、レスラーの生活はちょっと羨ましいと思ってしまった…
だってですね、特にインディーだと、生活に余裕がない中で、財産といやあまあ乗ってる車ぐらいのもので、
あちこち渡り歩く生活、なんか一生青春みたいなもんじゃないですか、コレ(笑)。
年取ったら気持ち的にもキツいんでしょうが、これみてると楽しそうでさあ…。
まさしくロードムービーですよ。足りないのは女だけw

ま、色々かきましたけど、基本的にはゆるゆるの楽しい映画です。
しかし、前編当然英語。日本語訳がでる可能性はないとおもって買ったんですけどォ、
正直結構キツいです。まあ日常英語レベルなのでわかる人は簡単にわかるでしょうね。
なにしろブライアンが喋る喋る(笑)というかカバナはイメージまんまなんですけど、
ブライアンがこんなお喋りかつ闊達な男とはおもいませんでしたよ。聞き易い喋り方ではあると思うんですけど。

てなわけで、おそらく深く理解などできていない私の英語力でもわかった&楽しめた、オススメシーンを。

・前編に渡りカバナが素晴らしい。なんか思ってたキャラまんまなハマりようです。
女性にキスねだるわ、キックボードに乗ってふざけてるわ、リナウロに着ぐるみ着せてポコチン殴るわ…w

・ブライアンの姉さんの家での会話。いかにブライアンが子供の頃からプヲタだったかがわかります。
レスリングスクールのために学校サボってこっそりバイトしてたりね…しかしそれでも優秀な成績で
卒業したそうでこれだから出来た奴は(略

・ブライアンが実はWWE入団の時の健康診断でひっかかっていたこと。
肝酵素上昇?とか血圧の問題とか、色々あったようで。酒も全然飲まないベジタリアンなのにねえ…
しかし心配です。

・ブライアンとカバナの卓球対決と、カバナとリナウロのスイカ早食い対決w
この流れはほんとに声出して笑ってしまいました。特にスイカ対決のカバナのマジっぷりがすごいw

有名なのでブライアンとカバナに目が行きがちなんですけど、リナウロが凄いいい味だしてるんですよねえ。
ちょっと気弱そうな顔に微笑を浮かべて、口数も少ないんですけどなんかトボけた味わいがあって
いじられ役としてスゴイいい感じなんですよw

本編だけで2時間40分。ちょっとシリアスなインタビューも交えていますが、
基本的には愉快なロード生活をたっぷり堪能できます。
なんといっても3人の相性がよく、見ているだけで楽しいので特にこの3人のファンならオススメです。
てか、プヲタとしてはある意味マストかもしれません。
ブライアンがWWEに去る前ということもあり、ラストのROHの公演は音楽もあいまって
かなり感動的な雰囲気で不覚にもうるっと来ました。「thank you dragon!」の声援もなんとも暖かいです。
この時期に撮ったって言うのがまた心憎い。
ただなんというか、ドキュメンタリーとしての完成度やまとまりというのは薄いので、
そのあたりは期待しないように。というか編集も結構適当だよなあ、ブライアンがマジメに
健康診断の結果について話してるとこを真剣に聞いてたら、カバナが滑り台から
ローラースルーゴーゴー(古いなwキックボードね…)で降りようとしてる映像に切り替わって吹きましたw もうちょっとこう…まあいいか。カバナの真面目なインタビューもあるよ!

まあ兎に角いままでにないドキュメンタリーですし、楽しめました。オススメです。
あとボーナスディスクにカットシーンが1時間ちょっとぐらい?入ってます。まだざっとみただけなんですが、こちらの方が私には聞き取り難度高いわ…ブリスコズが可愛い。

てかですねえ、これ見ていかに他のプロレスのドキュメンタリー映画が暗く作られすぎてるかっていうのを感じましたよ…もちろんそっちのほうが劇的だし、面白いのかもしれないけど、こういう一面を撮った映画ってなんでないんだろうってずっと思ってたので。
ビヨンドザマットも、あれ面白いんだけど、なんていうか…プロレスの負の部分だけを描いている様で。
ああいう映画が作られる前に、もっとレスラーのポジティブな素顔にせまるような作品が作られていればなあ、
と思ったりします。
あの映画も私が魅力感じるのはジェイク・ロバーツの家族のシーンやビンスが若手にゲロを吐かせたりする
シーンより、血だらだらで真っ青な顔で楽しそうに笑ってたり、入場をともにするオウムと遊んでたりする
レスラーたちのなんでもないワンシーンなんですよねえ。
個人的にあの監督がビンスの庇護をうけずに映画をつくった気概は買いたいけど、
そのおかげでWWEのドキュメンタリーは一生作られないだろうなあというのは、大きなマイナスです。
ビンスがあの映画をみて激怒した気持ちは実はほんの少しだけわかるんですよね…


※追記
英語苦手な人には(私も)ツラいこのドキュメンタリーですが、日本語字幕を作ってくれた神が存在します。
こちらからダウンロードできます。細かい手順も書いていて、初心者でも安心。
http://yottsume.hatenablog.com/entry/2013/06/23/173935
私はmedia player classicではうまく再生できませんでしたが、VLCなら全く問題ありませんでした。
字幕としての質も高く素晴らしいものです。是非利用してみてください。